吉野家で色々考えた

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その昔新宿に扉のない道路と渾然一体となった 吉野家 があった。

大昔の新宿に吉野家があった。大通りに面していたその吉野家には扉がなく店内もカウンターのみ。そして大昔のメニューは牛丼一択。吉野家とはそういう場所だったのだ。

扉のない気楽さと、まるで屋外気分で牛丼が食べれるので、結構通っていたのだが、ある日、何の前触れもなく、カウンター越しに牛丼を食べている自分の姿がケージに入って育てられているニワトリに思えて来てしまったのだ。吉野家なのに。

吉野家では「並」といえば牛丼が出てきて、食べ終わったらお金を置いて出ていくのみ。

そこには食欲を満たす以外の要素はない。無表情にエサを突くニワトリと牛丼を食べている自分はどこが違うのだろう。

ニワトリはケージがあるから外の世界を見る事が出来ない。でも牛丼を食べている自分は、少なくともニワトリよりは自由だ。ケージから飛び出す勇気があれば、だけれども。吉野家で牛丼を食べ続けながら、そう思った。

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