この地球という壮大な劇場で、我々の愛すべき人類がまたしてもドタバタ喜劇を上演しました。舞台は北陸新幹線の金沢―敦賀間、開幕のアナウンスと共に、地方のロマンとは無縁の、速さと効率だけを追求する現代劇が幕を開けるのです。
この新設ルートはまるでタイムマシン、敦賀までの旅が3時間8分という未来への短縮。さあ、福井県はこのタイムトラベルを活用し、2024年の客席を2000万人で埋めるという壮大な野望を描いています。さながら、コロナ前の舞台を大胆にも1割増しで再演しようというのですから、野心的というか何というか。
しかし、ストーリーの裏側には「ストロー効果」という皮肉なトリックが隠されています。新幹線が開通すると、人とお金が特定の場所に吸い込まれるわけですが、これは長野駅のエピソードで既にプレビューされていたんですよ。
特に東京での一極集中ショーは、まるでビッグマグネット、地方の小さな幸せはすっかりお呼びでなし、経済的にもすっかり寂しい風景が広がっています。
で、北陸の舞台に戻ってみると、この新幹線劇場が、人口減少のスピードアップにどう寄与するか、という次なるドラマが待っています。果たして、この喜劇で笑えるのは金沢駅周辺だけでしょうか？
そして不思議なことに、この裏話はメディアのスポットライトを浴びることはほとんどありません。北陸新幹線の開通のお祭り騒ぎの中、地方が直面する悲喜劇に目を向けるチャンスは少ないのです。
北陸新幹線の開通は表向きは地方経済活性化のヒーローとして讃えられがちですが、幕が下りた後には、地方の過疎化という悲劇の副作用が待ち受けています。
「くたばれ北陸新幹線」という台詞は、新幹線そのものよりも、我々がこの舞台装置をどう使っているのか、そしてその結果として何を失っているのかを、もう一度考え直すためのきっかけです。地方を活性化させる名目の下で、実際には経済的な利益と都市の発展のみを目指し、その過程で地方の魅力や価値を見落としています。
このコラムが、ちょっとした笑いと共に、皆さんに物語の裏を考える機会を提供し、一歩でも前に進むきっかけになれば幸いです。技術の進歩を楽しみつつ、それがもたらす影響を理解し、共にその責任を担うことが、我々が目指すべき真の喜劇ではないでしょうか。
そう、我々はこの喜劇の中で、ただ速さを追求するだけでなく、その速さがもたらす風景の変化、地方の繁栄と衰退の物語にも目を向けるべきなのです。北陸新幹線がもたらす「便利さ」という名のタイムマシンが、実はいくつかの地域をタイムスリップさせ、過去に置き去りにしてしまうかもしれないという皮肉。
結局のところ、「くたばれ北陸新幹線」と叫ぶことは、技術進歩の波に乗りながらも、その波がいかに地方の多様な色を薄め、結局は私たちの文化の豊かさを奪っていくかを、風刺的に照らし出すことなのかもしれません。技術の恩恵を享受することと、地方の価値を保ち、さらにはそれを育てていくことのバランスを見つける試み。それが、このドタバタ喜劇の中で私たちが見つけるべき本当のメッセージではないでしょうか。
そして、このコラムがもしも皆さんの心に小さな光を投げかけることができたなら、それは新幹線という舞台装置を超えた、人類共通の喜劇を一緒に創り上げる第一歩かもしれません。速さだけではなく、その先に広がる風景の美しさ、地方の小さな幸せを大切にしながら、共に前に進むことができれば、それこそが最高の笑い、そして最高の物語となるでしょう。
では、カーテンコールの前に、私たち一人ひとりがこの喜劇の中でどのような役割を演じ、どのような物語を紡ぎたいのか、心の中で思い描いてみてください。技術の進歩の舞台上で、私たちの心が描く最高の物語を、共に創り上げましょう。さあ、幕が上がります。
※画像やイラストは全てBing Image Creatorが作成。